
この映画の予告編を見て『こいつは面白そうだ』と思い、公開を楽しみにしていたのだが、ミニシアター系の中でも小規模公開作品らしく、劇場も時間も限られていてスケジュールを合わせるのに苦労した。何とか公開週に観ることができたけれど翌週からはさらに観るのに苦労しそうだ。平日夜の回に観たが、観客の入りは3〜4割と言ったところか。作品の情報もなかなか届きにくいし、届いても時間帯や劇場にかなり制限があったりするので、ミニシアター系作品はこういうところが実に難しいですね。
スイス山中の小さな街でお針子をしているバーバラは、唯一の肉親だった母を亡くし、譲り受けた店は倒産寸前。相談できる友人も恋人もいない。ある日、常連客との約束に遅刻した上にミスをしてしまったバーバラは、店に戻る途中に麻薬取引の現場に遭遇してしまう。売人の男たちは血まみれで倒れ、道には破れた麻薬入りの袋、拳銃、そして大金入りのトランクが転がっていた。横取りか通報か、それとも見て見ぬふりか?運命の3択がバーバラの頭をよぎる…と言うストーリー。

細かいツッコミどころはあるけど、全編センスの良い映像と奇想天外なストーリーで面白く観ることができる、ユニークで才気に溢れた作品。オシャレデートにもぴったりの1本です。
鑑賞後にHPを見たら、なんと監督のフレディ・マクドナルドは2000年生まれ。我々にとって2000年なんてついこの間なのに笑。現在25歳で、撮影時は恐らく23歳くらいだろう。何という若さだ。さらに資料を読んでいくと、監督が19歳の時に作ったこの作品のパイロット版のような短編映画があって、それを観たジョエル・コーエンが絶賛し、長編制作を勧めたらしい。何とも夢のある話だ。確かにこの映画にはスリルとユーモアがたっぷりあって、まるでコーエン兄弟の映画のようにも思える。
僕はそれこそ『ファーゴ』や『ブラッド・シンプル』みたいな、田舎町を舞台にしたミステリーやサスペンスが大好きなので、この映画をすっかり気に入ってしまった。
全編「さあ、この後どうなる?」というワクワク感に満ちているし、次々に予想を裏切るユニークな展開を用意していて飽きさせない。ラストの人を食ったようなオチもうまく決まっている。
お針子の技術を駆使したさまざまな仕掛けは視覚的にもカラフルで実に見ていて楽しいし、スイスの田舎町の風景も実に美しく、舞台設定に効果的なロケーションになっている。あと音楽もすごく印象的で素晴らしいサウンドトラックでした。
限られた登場人物と限られた予算で知恵を絞って作られた映画には傑作が多い。この映画はまさにそんな感じ。
この新鋭監督がその才能に磨きをかけて、さらなる傑作を作ってくれることを願うばかりだ。「初期は良かったけどその後全然ダメだったよね」みたいな監督はいっぱいいるので、何とかこの後も頑張って欲しいものです。
『世界一不運なお針子の人生最悪な1日』監督:フレディ・マクドナルド 2025年12月25日 @シネ・リーブル池袋 シアター2
蛇足的追記:
🔳僕はブルーレイが出たら買いますよ。そもそも出るかどうかかなり微妙だと思うけれど。
🔳パンフレット1000円は高いな〜笑。800円なら買ったかも。
🔳映画はもちろんだけど、ポスターなどのアートワークはすこぶるセンスよし。ひと昔前なら『アメリ』みたいにシネマライズあたりで公開されて“シブヤ系オシャレ映画”としてロングランしてたかも?と思わせるような作品でした。
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