カテゴリー: 音楽

  • ウラジミール・コスマのコンプリートCD BOXを買う

    フランスの作曲家にして数々の映画音楽を手がけたウラジミール・コスマのコンプリートCD BOX「40 Bandes Originales Pour 40 Films/VLADIMIR COSMA」(CD17枚組)を買ってしまった。万超えの痛い出費だったが、この手のサントラはタイミングを逃すとすぐに売り切れてしまったり、プレ値がついてとても手が出せなくなったりして「あ~あの時やっぱり買っておけば良かった」と後悔することも多いので、今回思い切って購入することにした。

    そもそもコスマとの出会いは僕が小学生のとき。当時僕の住んでいた岩手県では民放テレビ局が2局しかなく、そのうちの1局で、東北本線の特急の予約状況を毎日流す5分番組があった。確か夕方、学校から帰った16時55分頃からの放送で、その番組のBGMに使われていたのがコスマの曲だった。その時は毎日流れてくる曲だったので聴くともなしに聴いていたのだが、ユニークな音色で覚えやすいメロディだったので印象に残っていた。

    それから何年か後にテレビの映画放送(月曜ロードショー)で『ニューヨーク←→パリ大冒険』(1973  監督:ジェラール・ウーリー)というコメディ映画を見始めたら、あの特急予約情報番組の音楽が流れてくるではないか!そこで僕はあの音楽は元々映画のテーマ曲だったことを知ったのだ。

    https://youtu.be/5AIC5oVjNxE?list=RD5AIC5oVjNxE

    この映画はコメディ映画として最高で、とにかくストーリーと軽快で楽しい音楽との一体感が素晴らしかったので、僕の記憶に深く刻まれることになったのだ。(残念ながらこの作品は、リバイバル上映やDVD Blu-ray発売などが一切なく、日本語字幕や吹き替えのついたバージョンで今観ることはできない。字幕なしのオリジナル版なら何とかネットで観られますが…)

    https://youtu.be/5zq0_x77aAE?list=PLC3fHRCo94sd0_0squw6Z8zyjQxilWnAt

    その後、高校時代にソフィー・マルソー主演の『ラ・ブーム』(1980 監督:クロード・ピノトー)、大学時代に『ディーバ』(1983 監督:ジャン=ジャック・ベネックス)を観て素晴らしい音楽だな~とは思っていたけど、『ニューヨーク←→パリ大冒険』の作曲家とは結びついていなかった。そもそも『ラ・ブーム』と『ディーバ』は両方サントラCDを買っていたのだが、この2作の音楽が同じ人だということにすら気づいていなかった。

    https://youtu.be/rSHJRJYqIrM?list=RDrSHJRJYqIrM

    そして時は流れてYouTube時代となり、古今東西のあらゆる映像が簡単に見られ、しかもユーザーの好みまで勝手に探られてしまうようになり、ある日お勧め動画に何とコスマのコンサート映像が流れてきた。それはフル・オーケストラに合唱隊までついた豪華な編成で7分にも渡る組曲『ニューヨーク←→パリ大冒険』の演奏映像で、もちろん指揮はコスマ本人。僕は本当に涙が出るほど大感動した。日本ではあまり知られていないこの作品の音楽が、本国ではたくさんの人に愛されている楽曲なのだということが伝わってきてすごく嬉しくなり、このコンサート映像をもう何度観たかわからない。

    https://youtu.be/NU3cLoe4KkY?list=RDNU3cLoe4KkY

    すると俄然コスマのことをもっと知りたくなり、色々調べ、動画も漁ったところ、『ラ・ブーム』『ディーバ』と同じ音楽担当だったという衝撃の事実をようやく知ることになったのだ。となるともう止まらない。YouTubeでコスマの担当した映画音楽を片っ端から聴いてみると、もう僕好みの音楽ばかりなのである。基本的にはコメディが多いので楽しい曲が多いが、繊細な曲や格調高い曲もあってその振り幅に遅ればせながら感銘を受けるのだった。コスマの名を知らない人も『ラ・ブーム』の主題歌♪REALITYは聴いたことがあると思うのでぜひ検索してみてください。

    さらに調べてみると、コスマは『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』で知られる音楽家ミシェル・ルグランと出会ったことをきっかけに映画音楽の世界へ傾倒していったらしい。僕はルグランも大好きだなので、自分の好みの傾向が似ているのもよくわかりました。

    ということで、とにかくコスマの作った音楽を全部聴きたくなってしまった。しかし日本版として発売されているCDはごくわずかなので、その多くは輸入盤に頼るしかない。コスマのCDは輸入盤ならまだ日本でも比較的入手しやすい方だと思うが、それでも日本で公開されていない映画のサントラを一つずつ探すのにはまあ手間がかかる。そこで思い切ってコンプリート CD BOXを購入することにしたのだが、当然の話、フランスの商品なのでジャケットやライナーノーツの表記が全部フランス語である。当然読めない。作品タイトルくらいは絵柄などをみて判断できるが、かなり詳しく記載されていて資料的価値も高いと思われるライナーノーツが読めないのはすごく残念。

    さらに愕然とする事実が判明。このBOXには僕のお気に入りの作品『ムッシュとマドモアゼル』(1977 監督:クロード・ジディ)や

    https://youtu.be/GCrPwQAKb08?list=PLM3G0aTEFKMEVbUMu40VpreVBxyOzx8Gh

    『エースの中のエース』(1982 監督:ジェラール・ウーリー )の

    https://youtu.be/9uXQQzccLAI?list=RD9uXQQzccLAI

    サントラが入っていなかったのだ!実はこのCD BOXには「2」があり、『ムッシュとマドモアゼル』や『エースの中のエース』は「2」のほうに収録されているのだ。そりゃコスマは生涯150本以上の作品の音楽を手掛けているのだから、CD BOXも一つじゃ収まらないよな。トホホ、また万超えの出費である。


    輸入盤CD BOX 40 Bandes Originales Pour 40 Films/VLADIMIR COSMA 

    ↑後日「2」も買いました(泣)