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  • またかと思いつつ、初日に観に行ってしまうシリーズ最新作『プレデター:バッドランド』

    20世紀フォックス映画の(もうフォックスじゃないけどね)ドル箱人気シリーズである『プレデター』であるが、このシリーズがこれまで何本作られたかすぐに言える人はなかなかいないだろう。映画ファンであっても「プレデターの最新作は通算⚪︎作目です」なんて言えたり、3作目以降のストーリーをパパッと説明できる人なんて見たことがない笑。ここが『エイリアン』と大きく違うところだ。

    いきなりけなすようなことを言ってしまったが、とはいえ作られれば観に行ってしまうのが映画ファンの性というもの。このシリーズには何かヘンな魅力があるのですよね。直近のシリーズがどんな話だったかも思い出せないまま。最新作『プレデター:バッドランド』を奮発してIMAX鑑賞。お客さんは6〜7割くらいの入り。満員というわけではなかったけれど、ちゃんと若い人も女性もちらほらいる。で、思ったのが「この人たち何でこの映画観に来たの?」という純粋な疑問(笑)。世の中にはこんなにゲテモノ好きの人がいるのか。

    で今回のストーリーは…高度な文明を持つ戦闘種族であるプレデターの若き戦士“デク”は、父親との確執があり、一族から追放されてしまう。「究極の敵」を狩って一族に認められようとするデクは、偶然上半身しかないアンドロイド・ティア(エル・ファニング)と出会い、双方の目的のために手を組むことになる…。

    というわけで、たびたび『エイリアン』シリーズとクロスオーバーしてきた『プレデター』シリーズですが、今回は『エイリアン』シリーズでお馴染みのウェイランド・ユタニ社製アンドロイドが登場し、物語の重要な役割を果たします。上半身だけになったアンドロイド・ティアとプレデターが共闘することになる、というトンデモ展開が今回のミソですね。

    ところが、結論を言ってしまうと今回の「お話」は意外にもワンパターンに陥りがちなシリーズの中でもちゃんと新しさがあってかなり面白かったと思います。SF映画としてのスケール感もあるし、アンドロイドや異星生物たちの描写も進化していてかなり見応えがありました。

    ただ、ハリウッドの大作アクションに総じて言えることなのですが、ムダに予算かけすぎ(笑)。去年のアカデミー賞の時期に、『ゴジラー1.0』が一般的なハリウッド大作予算の1/10で作られたということが話題になりました。この作品も、見せ場が次から次へと用意されているのですが、それがあまりにも目まぐるしすぎて、緩急に乏しいのだ。せっかく異形の生物がたくさん出てきたり、その生物や植物を使ってプレデターが兵器を作って闘ったりするのに、その描写がいちいち雑なのでカタルシスが起こらないのだ。「あれ、今のがクライマックスだったの?」という感じ。

    この映画を観た後、懐かしくなって1987年公開の『プレデター』第1作(監督:ジョン・マクティアナン)を観直しました。予算はそれこそ最新作の何分の1だと思いますが、見せ場の描写は丁寧でサスペンスも迫力も申し分なく、実に面白かったです。この頃の志を忘れないでほしいものだな、と思った次第。

    とはいえ、ここのところの3作目『プレデターズ』(2010年)、4作目『ザ・プレデター』(2018年)とかに比べたら物語の広がりはありそうなので、デクとティアの物語の続きを楽しみにしておこうかな、という感じです。

    『プレデター:バッドランド』2025年 監督:ダン・トラクテンバーグ(2025年11月7日 @ユナイテッド・シネマ浦和 スクリーン4 IMAX)

    蛇足的追記:

    僕は配信作品である第5作『プレデター:ザ・プレイ』とアニメーション『プレデター:最凶頂上決戦』はまだ観ていません。チャンスがあったらぜひ観たい。

    1987年の第1作を観た時は、あまりにもマンガ的なプレデターの容姿や、浪花節的展開にやや失笑してしまった思い出があるが、時を重ねるにつれて、それらが味になってきた感はありますね。あの「醜い」プレデターの顔も可愛らしく思えてきたし、兵器を使う狩猟種族というのも受け入れられるようになってきました。

    そして改めて思ったのは『プレデター』1作目って豪華だったんだなということ。監督はこの後『ダイ・ハード』(1988年)『レッドオクトーバーを追え!』(1990年)を手がけるジョン・マクティアナンだし、音楽は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)のアラン・シルベストリ、キャストもアーノルド・シュワルツェネッガーに『ロッキー』シリーズのアポロ役、カール・ウェザースとすごいメンツだった。

    今回の入場者特典はプレデターのショボいアクスタみたいなやつ。アクスタならまだいいけど、「プラ板スタンド」みたいな感じで、ペラペラ感半端ない。ペラッペラ。これならIMAX鑑賞時に時々くれるA3ミニポスターの方が良かったな。

    最後に余談も余談だが、この『プレデター:バッドランド』の最も感心した部分は「メインタイトル」だ。冒頭と最後にメインタイトルが出るのだが、これがかなりカッコいい。タイトルロゴのデザインもカッコいいし、音楽などのタイミングもバッチリ。最近は凝ったタイトルバックが少なくなってしまったが、これは久しぶりに映画らしい堂々たるタイトルバックだった。こういうのって大事なんだよね。