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  • 14年前に製作されたB級SFスリラーをのんびり楽しむ日曜の午後『ダーケストアワー 消滅』

    またもYouTubeの無料動画で鑑賞。2011年製作、2012年に日本公開のSFスリラーだがこれまで観ていなかった。何かのDVDをレンタルした時にこの映画の予告が付いていて気にはなっていたのだが、鑑賞する決め手に欠けていた。B級映画は大好きなので、できるだけこの手の映画は観たいと思っているのだが、どうしてもタイミングというものがありますからね。で、観てみたら意外に拾いものだったというわけです。

    アメリカからビジネスでモスクワへやってきたショーンとベンがナイトクラブで気晴らしに飲んでいると、突如空から無数の謎の光体が飛来。それに触れると人間は一瞬のうちに灰のようになって消滅してしまう。ふたりはクラブいた3人の若者と共に何とか侵略者から逃げ延びるが、世界各地が同様の事態に陥っていることを知り、侵略者から生き延びる方法を模索する…というお話。

    主人公ショーン役は『イントゥ・ザ・ワイルド』(2007年)、『スピード・レーサー』(2008年)のエミール・ハーシュ。他にはリブート版『ロボコップ』(2014年)のジョエル・キナマンが出ているくらいで、そこまで有名な俳優は出ていない。なので多くのB級映画と同様、先入観なく物語に入り込むことができる。

    この映画のエイリアンがユニークなのは、基本姿はあまり見えないのだが、『宇宙大怪獣ドゴラ』(1964年 監督:本田猪四郎)にちょっと似ていて、クラゲのような姿をしているところ。全然強そうじゃない。体から電磁波(だったかな?)を発生しているため電子機器や照明に反応するという設定で、姿は見えないが、近づいてくると電球が光ったり、携帯が鳴ったりするのだ。古くは『ジョーズ』、最近だと『クワイエット・プレイス』みたいに、見えない敵の存在を常に感じているというスリルがこの作品でも描かれることになる。

    そしてショーンとベンは、ほぼ壊滅状態のモスクワの街を彷徨うわけだが、仲間が加わったり、減ったりしながらある目標まで移動することになる。

    この映画がもうひとつユニークなのは、ロシアとアメリカの合作で、モスクワが舞台になっているところ。ロシアが舞台である必然性みたいなものはあまり感じられないのだけれど、ストーリーが進むにつれて、アメリカ人とロシア人が協力せざるを得ない状況に陥ってくるというのがミソ。そこからちょっと胸熱な展開になっていくのも見どころだ。

    世界崩壊の危機を限定した空間で描写していく手法で、基本的には低予算映画だが、着想の面白さとアイディアたっぷりの見せ方で最後まで面白く観ることができた。ストーリー的に雑な部分は多々あるけれど、そこまで残酷でもないし、尺も長くないので家族や友人たちとワイワイ言いながら観るにちょうどいい1作でした。誰か観てないかな笑

    『ダーケストアワー 消滅』2011年製作 監督:クリス・ゴラック (2025年11月9日 YouTubeにて無料鑑賞・広告付き)

    蛇足的追記:

    実は数ある東宝特撮映画の中でも『宇宙大怪獣ドゴラ』がお気に入りである。この作品のことを知っている人が僕の周りにはあまりいないので面白さをなかなか共有できないのですが笑、東宝特撮らしいセンス・オブ・ワンダーにあふれていて大好きです。この『ダーケストアワー 消滅』を観たいと思った理由のひとつは、エイリアンが『ドゴラ』に似ていたからなんですよね。この映画の監督も実は『ドゴラ』観ているんじゃないかな?聞いてみたい。パクリだと思われるとイヤだから観ていても「知らん」とか言っちゃうのかな?

    あと『ダーケストアワー 消滅』のエイリアンが飛来するシーンは「けさらんぱさらん」みたいにも見えます。

    それとエミール・ハーシュの映画を久しぶりに観たな。彼の主演作『イントゥ・ザ・ワイルド』(2007年)は実にいい映画だった。ハル・ホルブルックが懐かしい。